トリミング中の犬

犬種によってはまめに行う必要があるお手入れの1つに、トリミングがあります。
トリミングとは、毛を切って全体を整えることです。
ペット用のハサミやバリカンを用いて、伸びた毛を切ったり、指を使って不要な毛を抜いたりして全体を整えます。
トリミングサロンで行ってもらうことが一般的ですが、簡単な調整であれば、ペット用バリカンを使って自分で行うことも可能です。

ただし、すべての犬種でトリミングをする必要があるわけではありません。
必要なのは、プードルやマルチーズ、ヨークシャーテリアなどです。
これらの犬種がトリミングをする必要がある理由は、被毛の構造に関係があります。

犬の被毛には、ダブルコートとシングルコートの2種類があります。
ダブルコートとは、アンダーコートとオーバーコートの2種類の毛が生えていることです。
アンダーコートは内側にある柔らかな下毛で、これは換毛期になると抜け落ち、また生えてくるという周期を繰り返しています。
オーバーコートは硬い上毛で、換毛期に抜けることはありません。
人間の髪と同じように、毎日少しずつ抜けて生え変わっていきます。

シングルコートは、オーバーコートの生えていない状態です。
換毛期にごっそり抜けるということはなく、少しずつ生え変わります。
そのため、シングルコートの犬を何もせずに放置していると、伸びた毛が絡まってしまうのです。
動けなくなったり見た目も悪くなったりするため、伸びた分を切って調整するといったお手入れが必要になります。

ダブルコートの犬種は、トリミングをする必要はありません。
ただし、毛が抜けるのでこまめにブラッシングをすることが大切です。
トリミングをしてしまうと、元の姿に戻るまでに時間がかかり、伸びかけのまとまりのない状態が続きます。
そのため、ダブルコートの犬をトリミングしてしまうと、それ以降も頻繁に行わなければならなくなりますので、注意しましょう。

トリミングというと、愛犬をお洒落な見た目にするために行うものと考えている人もいるのではないでしょうか。
シーズーやとトイプードルなどのアフロカットやまんまるカットは非常に愛らしく、よく知られています。
このような愛らしい姿から、飼い主がお洒落のために犬の毛をカットさせているという印象を持たれやすいのでしょう。
しかし、実は、トリミングは犬にお洒落をさせるためだけの目的で行うものではありません。
見た目を整える以外にも、実用的な理由があって必要なのです。

伸びた毛によって怪我もしやすくなる!

毛の長い犬

トリミングを行う大きな目的として、見た目を良くする以外に犬の身体を清潔に保つためというものがあります。
犬の身体は全身が毛で覆われていますので、何かを食べたときは食べかすが口元に、排泄したときは肛門や尿道周辺の毛に糞尿が付着しやすい状態です。
これでは、口元やお尻の周りに雑菌が繁殖する危険性があります。
また、毛が多いとノミやダニも隠れやすいため増殖の危険も招きます。
この状態では衛生面でかなり心配です。
そこで、適切な頻度でトリミングを行って不要な毛を取り除くことで衛生的に保つようにするのです。

肛門絞りもしやすくなります。
肛門絞りは、あまり知られていませんが、犬の重要なお手入れの1つです。
犬には肛門の回りに肛門腺と呼ばれる腺があります。

ここからはマーキングに使われる臭いの強い分泌液が分泌されます。
この分泌液を自力で出せる犬なら問題はありませんが、うまく排出できずに溜めてしまうことがあるのです。
その場合、飼い主が絞って出さなければなりません。
なぜなら、溜まったままにしていると肛門嚢に細菌が繁殖して炎症を起こすことがあるからです。
お尻の周りをトリミングすれば、肛門を絞りやすくなり炎症を防げます。

さらに、どこかを怪我したときに傷口の周りの毛を短くカットすれば毛による刺激や雑菌への感染なども防げます。
このように、衛生面からトリミングは非常に大切な意味をもつのです。

トリミングには、もう1つ怪我を防ぐという役割があります。
たとえば、目の周りに長い毛がたくさん生えていると視界が狭まり危険です。
短くカットすれば広い視界が確保できます。

犬の足の裏には肉球があります。
この肉球は見た目が可愛いだけでなく、重要な役割を持っています。
たとえば、クッションのように働いて足への衝撃を和らげるということです。
また、滑り止めとしても機能します。

ところが、肉球の間に生えている毛が伸びたままになっていると滑り止めとしてうまく働きません。
思い切り走っていてストップしようとしたときや高くジャンプして着地したときなどに、大きく滑ることがあります。
すると、止まりきれずに壁にぶつかったり転んだりして危険なのです。
場合によっては大きな怪我をしてしまうこともあるでしょう。
特に、最近はフローリング仕様の家も多く滑るものです。
怪我を防ぐためにも、肉球の間の毛をしっかりカットすることはとても大切です。

体温の上昇を防ぐためにもトリミングは有効です。
毛を短くすると空気が通りやすくなり、必要以上に体温が高くならずにすみます。